2020年12月22日

夜の音

ふと夢の最中に目が覚めてしまうと夢を繋げなくなって、なにかが頭の中をくるりくるりと廻り始める
夜の中を列車の鉄輪が、鉄路の継ぎ目を拾いながら、ごとんごとんごとんごとん、と
走って来て通り過ぎて去って行く、その音が懐かしい音が、夜具の中の私も運んで行こうとする

静かになっても夢は訪れず、なにかが頭の中でゆるりゆるりと廻っている
こんな夜中の目覚めの時間昔の時間なら、柱時計の音がしていた
こっちこっちこっちこっち、と
過ぎる時間来る時間が隊列揃えて行進して来て通り過ぎて行く行く、ずっと眠りにつくまで行進

遠くでサイレンが鳴って、犯人か火災現場か怪我人かをどこからか連れて来て、どこかに連れて行く
頭の中のなにかがなにかを思い出させそうで、思い出せないなにかのことを私に囁く
長い真っ暗な時間の中で、昔の電話の鳴る音とがしゃっと、受話器を外す音があったことを私に

やがて夢がまた始まる
posted by 熟超K at 15:00| Comment(0) | 私的な詩

2020年12月12日

さよなら夏

朝の光がちょっとずつはぐれていって
日焼けの肌がぼんやりし始める

君のかたちがゆっくり乾いて
静かになっていく心のリズム

僕らはどれも誰もそれらを止められないまま
夏はこっそり終わっていく
posted by 熟超K at 16:36| Comment(0) | 私的な詩

あの頃…1

あの頃、小学校の授業が終わると、出来るだけ長く学校にいましたっけ
「放課後がおわりました〜、校内にまだ居る子は〜、もうかえりましょう〜♪」いつもの曲に乗って放送部の女子の声が全校中に流れてました

帰り道は、一人で歩いて帰ってました
家まで約1時間、それをあっちきょろ、こっちきょろ、興味の向く方に引っ張られながら
とつとつ、歩いて帰ってました

帰り道の途中、いつも痩せたポインターが繋がれているところで、残した給食のパンを食べてもらってました
お寺の境内に入って、保育園の遊具でちょっと遊んで、秋は雑木林の中に、椎の実が落ちてないか調べ
…だって、ドングリは食べられないけど、椎の実は食べられるってしっていたから

そこからパンを焼いている工場の前を通って…なんて良い匂いなんだっていつも思った
教会の前を通る道か、測候所の方を通る道を選ぶか、迷いながら徐々に家に近付いていく
玄関まで玉砂利が敷いてある家で、持って来た金づちでいろんな石を割って、中にダイヤモンドを見つけたり

家に近付くと、近所の家から夕方のラジオの音が流れていて、急に家に帰る気になったものです
posted by 熟超K at 16:29| Comment(0) | シェイクアフロッグ